ユウのことだ、人の集まる場所よりは、自室に一人でいる方が多い。 そうでなければ修行に行っているかだが、それは団服が部屋にあるかどうかでわかるだろう。 彼専用の丈の長い団服は、修行のときには邪魔らしい。 そう考えて、ともかくも神田の部屋へ足を向けたラビは、廊下の向こうから迫ってくる人影に気づいた。 始めは小さな点だったそれは、すぐに誰と判別できるくらいの距離まで近づいてきた。 「アレン・・・?」 「どいて下さーい!!」 警告は少し遅すぎた。 アレンの声が届くのと、二人がそろって床に尻もちをつくのはほとんど同時だった。 「・・・・ってー・・・」 「痛たたたた・・・・・あぁラビ、すみません。大丈夫でしたか?」 「大丈夫さー・・・ってチョコ!!」 慌てて辺りを見渡せば、少し離れた床に紙袋が転がっていた。駆け寄って拾い上げ、ほっと息をつく。 「ラビもチョコもらったんですか?」 「ん? ああ・・・これな。まぁそんなとこさー」 「お互い大変ですね・・・」 「?」 疲れた顔でため息をついたアレンに、ラビは首を傾げる。 そういえば彼はなぜあんなに急いでいたのか。 「そういやアレン、何をそんなに急いでるんさ?」 「・・・・あなたはリナリーからもらってないんですか?」 「もらってねーけど」 「じゃあ気をつけた方がいいですよ・・・現場を見つかったら・・・・・・・」 アレンは自分の肩を抱いてぶるりと身を震わせた。その様子からなんとなく事情を察して、ラビは乾いた笑いを浮かべる。 まったくコムイのヤツ、あのアレンをここまでびびらせるとは、大したシスコンぶりである。 「き、気をつけるさ・・・・・」 アレンと別れ、ラビは今度こそ神田の部屋へ向かった。 チョコが無事でよかったさ。 ん?なんかさっきより軽い気が・・・