神田の部屋を訪ねると、案の定彼はそこにいて、ベットに腰かけて六幻の手入れをしていた。 ひょこりと顔を出したラビの姿を認めて、神田はなんだお前か、といった素振りで、また視線を手元に戻した。 何も言われないのをいいことに、ラビはそろそろと神田の傍まで近づいて行く。 そのまま彼の横にすとんと腰をおろし、しばらく作業の様子を黙って見つめていた。 「・・・何の用だ」 視線を鬱陶しく感じたのか、やや機嫌の悪そうな声で、神田。 視線がこちらに向くことはない。 「・・・え、と。終わってからでいいさ。大した用じゃねェし・・・」 「用がないなら帰れ」 「用はあるさ・・・?」 「なんだ」 「え、・・・・いやその」 「さっさとしやがれ」 手を止め、イライラを隠しもせずにラビを思いきり睨みつける神田。 ラビはそんな様子を見て、まずいさ、と思った。 この機嫌の悪さでは、おそらく贈り物を差し出したところで受け取ってもらえない。 かといってこのままぐずぐずしていれば、数分後には廊下に叩きだされて、部屋には一歩も近づけなくなる。 (どーする、俺!?) ラビを救ったのは、神サマでもライフカードでもなかった。 ドアをノックする音が響いた。 紙袋に肘があたって、床に転がり落ちた。