「ラビ・・・・・」 「起きたか」 目を開ければコムイとジジイの顔があった。 隣の寝台には眠るユウ。その顔は、傷痕は生々しいけれど、穏やかで、安らかで。 ――起きる気配は微塵もない。 ユウは優しい。でも優しくない。ユウの優しさはすぐにはそれとわからない。 でも夢の中のユウは優しかった。勝手な俺を許してくれた。約束をくれた。とてもとても優しかった。 だから、なんとなくわかった。 「ラビ・・・」 「あれ、コムイ? 俺なんでこんな所にいるんさ?」 「・・・急に倒れてね。大丈夫? 何かおかしなところはない?」 きっとユウは自分の体に戻ろうとしたんだろう。そして、戻って行った。 そう確信しているからかえって、敢えて隠そうとしているコムイを追求しようとは思わない。 「ジジイまで揃って大仰さねー。なんもねーよ? ばりばり元気!」 「そうかい? それならいいんだけれど・・・」 「なに、どしたんコムイ? やけに心配すんじゃん。 んー・・・じゃあ今日はお言葉に甘えてこのままちっと休ませてもらおっかなー」 「え」 「構わねェだろ? ジジイ」 「好きにせい」 ジジイはあっさりと部屋を出て行った。 コムイは思わずといった感じで出て行くジジイを追って振り返り、扉が閉まるのを見届けてから、ふいとこちらに向き直った。 「まだしばらくここにいるかい?」 「そーさね」 「・・・そうかい。じゃあ僕はこれで失礼するよ」 お大事に。 言い残してコムイも静かに部屋を出て行った。 機械の駆動音だけに満たされた部屋。 寝台にもう一度背中を落とし、俺は顔の上で腕を組んだ。 「・・・・・・・嘘つき」 眠り続ける愛しい人。 果たす気もない約束を押しつけて逃げてしまった君に、今度会ったら絶対文句を言ってやるんだ。 ――夢で、会えたら。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ぐだぐだ長くてすみません・・・コンセプトは「裏表の恋人」でした。月と太陽、みたいな。 書きたいことはっきりしてたわりには迷走しまくりましたうーん。まだまだ精進していかなきゃですね。 長々とおつきあいありがとうございました!
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