「ユ、ユウ待って! ちょっと待ってそのドア開けたら絶対なんか出るって!」 「うるせェ!! 開けなきゃ先に進めねーだろうが!」 「ちょ、ちょっとの間でいいんさ! まだ心の準備が・・・・ッ」 情けなく俺の腕に縋りつく図体のでかい子供――ラビに、俺は深々とため息をついた。 コイツがこんなに憶病だったとは。 ゴールを目前にして、何度目かわからない『ちょっと待って』だ。 ここまでの道のりに仕掛けられた罠の数々の、なんと稚拙でくだらなかったことか。 暗い通路で誰かに足首をつかまれるとか、肩を叩かれるとか。 ドアを開けるとヘビやらクモやらのおもちゃが落ちてくるとか。 どこかから女のすすり泣く声が聞こえるとか、明らかにシルエットがおかしい人とおぼしき ものが、通路の隅でじっと立ったままこっちを見ているとか。 ようは、アレだ。 典型的なお化け屋敷の仕掛けというやつだ。 そのことごとくにいちいち反応して見せるラビに、呆れなんて感情はとっくのとうに通り越していた。 「おら。手ェ繋いでやっから。ったく、でかい図体して情けないやつだぜ・・・」 「面目ないです・・・・・」 差し出した手をぎゅうと力いっぱい握り返され、まったく情けない、思う心の片隅で、 ほんの少しだけ愛しさを感じた。 ・BACK・
お化け屋敷ラびたんver ヘタれですがこれでも攻です。