「!?」 ヒヤリとして、それでいてヌルリと水気を含んだ何かが首筋に触れて、 俺は慌ててその場を飛び退り、構えをとった。 先ほどまで自分の立っていた場所に目を凝らせば、そこには―― 上から吊るされた何かがぶらぶらと揺れている。 それがこんにゃくだと気づくのと、ラビの噴き出す声を聞いたのはほぼ同時だった。 「ぶっ・・・・・」 「・・・てめぇ。 死にたくなかったら今すぐその口を閉じろ」 「や・・・ごめ・・・・あんまり素直に反応するから・・・・つい」 言いながらまだヒクヒクと震えているラビにカチンときた。 事実だけに余計に腹立たしい。 ここまでの道のりに仕掛けられた罠の数々の、なんと稚拙でくだらなかったことか。 暗い通路で誰かに足首をつかまれるとか、肩を叩かれるとか。 ドアを開けるとヘビやらクモやらのおもちゃが落ちてくるとか。 どこかから女のすすり泣く声が聞こえるとか、明らかにシルエットがおかしい人とおぼしき ものが、通路の隅でじっと立ったままこっちを見ているとか。 ようは、アレだ。 典型的なお化け屋敷の仕掛けというやつだ。 そのことごとくに、あるいは斬りかかりかけたり、思わず声をあげかけたりと、 見事に引っ掛かり続けて――おそらくゴールは目前のはずだった。 「・・・・ほら、ユウ。 もう少しだから頑張って」 いちいち動揺を隠せない俺に対して、アイツは顔色一つ変えず淡々と通路を進んでいく。 差し出された手をしぶしぶながらも握って、憎たらしいやつだと内心毒づいた。 ・BACK・
お化け屋敷・ユウちゃんver 強がってたらカワイイなと。