暗め。戦場で。 イメージはポルノグラフィティの「蝙蝠」
ぽつり、ぽつり、と数滴頬を掠めたかと思えば、その音はすぐにザーというまとまった雨音に変わった。 乾いていた地面はあっという間に真っ黒にそまり、水に濡れた土の匂いがプンと鼻につく。 雨足は激しく、全てを洗い流し、さらっていく。 戦いの跡も、アクマの残骸も、流れた血も、全て。 どうせなら、あの人のことも、綺麗に洗ってくれたらいいのに。 ぼんやりと見つめる先にはユウがいて、何を思っているのか、 じっとその場に立って、微動だにしない。 虚ろに向けられた視線は何も捉えていなくて、 ただべったりと黒い絵の具で塗りつぶしたような輝きのない黒瞳にゾっとした。 その顔に、体に、散った血だけしか洗い流せない雨はむしろ冷たくユウを苛んでいるようで、 思わず駆け寄って名を呼んだ。 その腕を引いた。 大丈夫かと、それくらいしか聞けない自分が、情けなくて仕方なかった。 ・BACK・