書庫でのひとコマみたいな。 ラビっこは本に対して敬虔な気持ちをもってそう。
「頭痛くならねぇか」 「あー・・・・・まぁ目ェ使い過ぎれば、なることもあるけど」 「こんなん、読むヤツの気も知れねぇが、書くヤツも大概だぜ」 分厚い革張りの本をぱらぱらとめくって、うんざりとしたようにそれを閉じた。 「文章に残すこと。 記録すること。 大変だけど、大切な作業さ。 ここにあるだけの本の著者が、みんな億劫がって筆を持たなかったら、俺らはもっと無知で、 世界はもっと遅れてた」 「・・・・・・・残したって、誰かが読まなきゃ話になんねぇだろ」 「そうさね。 でも肝心の文献がなかったら、どこからも知識を得ようがない」 「・・・・・・」 俺の向かいに腰かけたユウはまた、適当にページを開いて視線を落とす。 いくらもしないうちに、はらりはらりと、捲られていくページ。 「もっと簡単に書いてくれりゃあいいのに」 ぽつりと漏らされた言葉に苦笑して、俺も自分の本へ意識を戻した。 ・BACK・