「・・・・・・・・ラブラブしたい」 「・・・・・・・」 ユウは俺の目の前にいる。 ベットに横になっている俺に対して、向かい合う形で椅子に腰かけて。 次の任務に関する資料だか何だかを、眉間に皺を寄せて真剣に読んでいる。 距離は大して離れていない。 よって、俺の声は確かに小さな呟きだったけども、きちんと届いているはずで。 現に彼の眉間の皺はさらに深まった気がする。 しかしユウは俺の発言を黙殺することに決めたようだ。 めげずに、俺は口を開く。 「ねェ、ユウ」 「・・・・・・・」 「ラブラブー。ラブラブしたい」 「・・・・・・・・」 「聞いてる? ね、ユウってば」 「・・・・・・るせーよ」 ゆっくりとこっちに向けられたユウの顔には、見事な青筋が浮いていた。 「静かにしろ! 人が真面目に仕事してりゃあ横でぐちゃぐちゃと・・・・っ」 「だって、ユウが無視す」 「お前の妄言なんかいちいち聞いてられるか!」 「ヒドイさ・・・・」 「ここは俺の部屋だ! 文句があるなら出てけ!」 言って、イライラとしたオーラをあたりにまき散らしながらも、視線だけは資料に戻す。 まったく、短気なんだから。冗談の通じない・・・いや、冗談というわけでもないのだけれど。 任務から戻ってきてコムイの所に顔を出したら、偶然ユウとはち合わせて。 めずらしくユウから、部屋に来るかなんて誘うから、俺は凄く期待して、シャワーも着替えも 特急ですませて訪ねて来たのに、さっきからユウはずっとこの調子だ。資料に釘付け。 俺を呼んどいて邪険にして。それでいて勝手にベットに上がっても怒らない。 「・・・変なユウ」 「あ゛?」 「しばらく会ってなくて、ユウも寂しかったのかと思ったのに」 「・・・・んなわけねーだろ」 「・・・・素直じゃない」 「うっせぇ刻むぞ」 ユウはようやく資料から手を離した。 「・・・で、俺はどこに寝りゃいいんだ」 「もちろん俺の胸に」 「死ね」 「ユウもラブラブしたかったんでしょ」 「・・・マジでくたばれ」 言いながら俺を壁の方へ押しやって、ユウも横になる。 もちろん俺はすかさず抱えるように腕をまわした。 「久しぶり」 「・・・・・チッ」 「寂しかった?」 「寂しくねーよ」 「そっか、俺も寂しかった」 「寂しくねーって言ってんだろ・・・」 掌に、とくとくと鼓動が伝わる。充足感。 幸せな気持ちで俺は目を閉じた。 ・BACK・
ラビがヘタレすぎていっそキモいくらいが好きです。ヘタレマンセー