目を開けばそこには、崩れ、無に還ったはずの光景が、 そっくり元の姿をして広がっていた。 一瞬状況についていけなくてぽかんとする。 確かに一度、自分の意識は途切れた。 光に呑み込まれて――それから? それからどうなった? あれからどのくらいの時間が過ぎた? アイツらは、無事か? 「・・・・・」 俺は脚に力をこめた。傷も大体治ってきている。 歩けないほどじゃない。 ・・・梵字は戻らないか。まァ仕方がない。 人の体を眺めまわして、痛々しげに、申し訳なさそうに眉をひそめる アイツの顔が浮かんで、なんとはなしに胸を軽くこすった。 砕けた六幻をかき集めて、立ち上がる。 歩く度に体のあちこちが痛んで、思わず顔をしかめた。 途中で名前はなんといったか、ヒョロ長いエクソシストを拾ったら、 体にかかる負担は余計に重くなった。 その巨体を引きずるように次の扉に足をかけながら、ふと思う。 ・・・ぶっ倒れてても見捨てて行くからな、ラビ。 さっきからアイツのことばかり考えてしまう自分に気付いて、 なんとなく面白くなかった。 「チッ」 ・BACK・
方舟編2。またまたユウちゃん視点