日も暮れかけた街。 店の裏口を開けて外の通りへごみを出し、桂は小さく息をついた。 ふと、後ろに生まれる気配。 「バイト中か?」 「・・・・・お前達のように、庶民から搾りとった税金で遊び暮らしている奴らとは違うのだ」 声と煙草の臭いから思いいたって、桂はそちらへ目を走らせる。 人影はなかったが、開け放たれた裏口のドアを挟んだ向こうから、静かに紫煙が立ち上っていた。 「終わったそうだな」 「・・・・・・・・」 「伊東一派の謀反か。 高杉たちも絡んでいたようだが」 「知らねぇよ。 俺ァただ斬っただけだ。 近藤さんに、俺達の魂に背く奴らをな」 「・・・・・伊東は、戦いの最中、志半ばで討ち死にしたと」 「裏切り者を生かしておいちゃあ綱紀が乱れる」 「なるほど。 鬼の副長も盟友(とも)にかける温情くらいはあったと見える」 「・・・・・友じゃねェよ」 ドアを挟んだままで会話は続く。 「何しに来た」 「あらゆる神社仏閣をたずね、あらゆるまじない念仏を唱えてもらってきたが・・・・」 「返答次第では俺はさっさととんずらしなくてはならん。お前は――」 「どうやら妖刀の呪いは相当根深いらしい」 「トッシーか?」 「知らず知らずのうちに足がこっちに向いてやがった」 ドアの向こうから現れた姿は、袖なしのGジャン。 足元に落した煙草をぐりぐりと足でもみ消して、顔を上げる。 絡まった視線の先で、土方は屈託のない笑みを浮かべた。 「ヅラ子氏、アキバツアーに行くでござる」 [選ぶのは君。選ばれたのは、] ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ そして物語は続く、第十話。 長々とお付き合いありがとうございました! トッシーと桂さんの恋はまだ始まったばかり。今後もたくさんいじっていきたいですウヘヘ(ウヘヘって)
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