「やるなら今しかねーZU・RA! はい復唱っ」
「やるなら今しかねーZU・RA!!」
「やるなら今しかねーZU・RA!! 繰り返しィッ!!」
「やるなら今しかねーZU・RA!!」
「攘夷がJOY!」
「JOYが攘夷!」
「ふざけたYOUに俺が天・・・」
「月にかわってお仕置きでござる――!!」
「違うわァァァァァ!!」
がしゃん、という音とともに音楽が止まる。
限りなく気の抜けた顔で頬杖を突きながら、俺はもう好きにしてくれと投げやりな気分で、
トッシーに掴みかかるヅラを止めるでもなく目の前の光景を見送っていた。
「なんだそのふざけた歌詞は!!
たかがラップといえど立派な布教活動、貴様攘夷を舐めているのか!?」
「舐めてないでござる!! こっちの方がかっこいいじゃないか、なんとなく!」
「どこかだァァ!! ここは天誅に決まっておるだろう!」
「僕ァ引きましぇん!!」
「あの・・・・もう帰っていいですか」
「銀時! ここは天誅だろう!? この言葉失くしては締まるものも締まらんだろうそうだろう!?」
「坂田氏! ここはやっぱり国民的ヒロインの決めゼリフを頂戴するしかないと思うんだが僕的に!!」
「や、どっちでもいーから。心の底からどーでもいいから。お願いです帰らせて下さい」
帰ると言っても、ここは万事屋事務所で俺の家なのでむしろ帰るのは向こうの方なのだが、
電波コンビに何を言おうと人語を解してくれるはずもない。
平和なはずの午後、突然二人で乗り込んで来たと思ったら、ロン毛電波は高らかに、
「銀時! 俺たちはユニットを組むことに決めたぞ! オリコンを占拠して街を攘夷に染めて見せよう!」
とかなんとか宣言して、俺が非常に気のない返事しか返さなかったのが気に食わなかったのか、
よかろう、そんなに言うならば俺たちのパフォーマンスを見るがいい、と勝手にラップが始まってしまって。
ヲタク電波の方も何が楽しいのかヅラにニコニコと従っていて、のに妙なところで頑固で。
おかげでラップは止まりっぱなし、俺の貴重な時間はもうどれくらい失われたんだろうか。
「いやだから一度天誅に変えてやってみ!? 絶対その方がしっくりくるから! 確実だからコレ!!」
「仕方ないでござるなヅラ子氏は・・・じゃあもう一回初めからやり直しだね」
「はぁぁぁ――・・・・」
頼むから帰ってくれよ。
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トッシー桂。CD出るなら買います。私が。