「お前なんか嫌いだ」 投げつけられる言葉に軋む胸は意識の外に追いやって、手を伸ばす。 「触るな」 その繊手に触れる前に、俺の手は敢え無くはたき落とされた。 きっ、とこちらを睨んでくる瞳。まっすぐな瞳。 思わず目をそらした気なるような清廉さをたたえたこの男のそれが今は揺らいでいるから、 俺は怯みながらも距離をつめることができる。 「よるな!」 再三の恫喝。聞いていない訳じゃない。効いていない訳でも。 「土方ッ」 「嫌なら本気で抵抗すればいい。お前ほどの腕ならできるだろ?」 男の――桂の動きが止まった。俺は口の端をわずかにつり上げて、今一歩距離をつめる。 「できねェだろう」 「・・・・たわけたことを」 桂は腰に手をやった。刀の柄に手をかけて、脅しのつもりか。 でも俺にはわかっている。ヤツがそれを抜くことはない。 だって俺を拒否する言葉を吐きながら、どんな時でもまっすぐな、ヤツの瞳は揺れていた。 ・・・・・・卑怯だな、俺ァ。 「・・・・・ッお前なんか、」 だいきらいだ。 ・BACK・
土桂。土方さん相手だとなんでかシリアス調になります。