※逆3Z設定です。桂→教師 銀時→生徒
この3年間嫌ってほど見てきた小汚い校舎も、今日を限りに訪れることもなくなると思えば、
妙に感慨深い気持ちにさせられるから不思議だ。
まっ白い壁に落書きのひとつもしたくなる。
自分が確かにここにいたという証を、刻みたくなる。
まだ肌寒い中にも春の気配がした。
近頃花粉症ぎみの鼻をすすって、銀時は校舎裏へ急ぐ。
学校の敷地の端、ひっそりと佇む、桜の木の下へ。
(ちょっとベタすぎねー・・・?)
気合を入れたつもりなのか、紋付姿で卒業式に参列した我が担任は、
卒業証書にメモを挟んでこの場所を指定してきた。
桜の木の下で。
報われない恋にじれったい思いをしてきた身としては、え、これなんて告白フラグ?とか
思ってしまっても仕方ないと思う。けしてゲームのやりすぎではない。
てか俺、そーいうゲーム持ってないから。知らないからそういう世界!
セルフツッコミを入れているうちに目的地が見えてきた。
木の下には、もう正装を解いたのか、いつものジャージ姿の桂。下ろされた長髪が風に翻る。
知らず、足を止めてしまうほどに、気づけば銀時はその光景に見いっていた。
「銀時」
「!?」
目の前に桂がいた。振り仰げば、満開の桜。
おかしい、いつ自分はここまで移動した?桜の花は咲いていたか――?
銀時が答えを見つける前に、ほのかに頬をそめた桂は恥じらうように少し目線を下げた。
「お前に伝えておかなければならないことがある・・・俺は、お前のことが・・・・」
胸元でぎゅっと手を握りしめる動作に胸がざわめく。
この際多少の不思議はどうでもよく思えた。続きを待って銀時は生唾を飲み込む。
桂が顔を上げる。
かち合う視線。何かを決心したような強い瞳がまっすぐ銀時を射抜いた。
ピピピピピピピピ・・・・
聞き慣れたアラーム音。
見慣れた天井。
お約束過ぎる展開に、銀時はため息をついて布団をかぶり直した。
「どうせそんなこったろーと思ったよ・・・・」
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銀桂。桜の木の下ってフラグですよね。ゲームやったことないですけど。